メイン画像は、ある篆刻家に頼んでつくっていただいた游刻印である。石に刻まれた印。自著に押したり、手紙の末尾にあしらったり、年賀状に書いた筆文字の傍らに押してみたりと、さまざまに使っている。
篆刻家にデザインを依頼してから、出来上がるまで少しの間があった。その期間に、篆刻家に三度会っている。
石に刻む、その前に、私の生き方をさぐりたい。
篆刻家はそう思っていたに違いない。
私は、おしゃれな帽子もかぶれば、きものも着る。ノンフィクションも書けば、能楽やそのほか洋の東西を問わず芸術文化の世界も書く。不世出のプリマドンナとして有名なマリア・カラスも大好きで、評伝にも取り組もうとしてもいる。故郷にある世界遺産・平泉については、何度も講演を頼まれるほど熟知している。その他、シンポジウムのパネリストも多く依頼され、舞踊や映画の解説もする・・・。
いろいろなスタイルで、その時々を生きている。・・・
はたして、この游刻印は、私を端的にあらわす印となった。
私の作品の多様性を示している游刻印を提示して、コンセプトの紹介とさせていただきたい。